近年のイルミネーションについて調べると、「新しい技術」「派手な演出」「大規模化」といった言葉が目に入ることが多くなっています。


確かに、LEDや制御技術の進化によって、以前と比べてできる表現が増えているのは事実です。


ただし、近年のイルミネーショントレンドを整理するうえで重要なのは、
技術そのものよりも、体験の設計がどう変わってきたかという点です。


その変化を捉えるキーワードとして、現在よく挙げられるのが次の二つです。



■没入感 ~「見る」から「包まれる」体験へ~



ひとつ目のキーワードが没入感です。


従来のイルミネーションは、オブジェやモチーフを「鑑賞する」体験が中心でした。


広場に設置された装飾を眺め、写真を撮り、その場を離れる。


こうした体験は、分かりやすく、印象にも残りやすい一方で、体験の時間は比較的短いものでした。



一方、近年では、


  • ・視界全体に光が広がる構成
  • ・奥行きを感じさせる配置
  • ・歩くことで風景が変わる動線設計


といった、空間全体に包まれる体験が重視されるようになっています。


イルミネーションは単体の装飾物ではなく、
建築、街路、地形、人の動線を含めた空間設計の一部として扱われます。


人は立ち止まって見るだけでなく、歩き、進み、振り返りながら体験する。


その結果、「何を見たか」よりも、
「どんな空間にいたか」という印象が記憶に残りやすくなります。



この没入感は、必ずしも広大な敷地でなければ成立しないものではありません。


通路や駅前空間、商業施設の外構など、限られたスケールの中でも、
光の密度や配置を工夫することで没入的な体験をつくることは可能です。




■インタラクティブ ~人の行動が体験の一部になる~


もうひとつのキーワードがインタラクティブです。


インタラクティブなイルミネーションとは、
人の動きや行動に反応して光が変化する仕組みを指します。


  • ・近づくと光が変わる
  • ・歩くと反応が起きる
  • ・動きに合わせて演出が切り替わる



こうした仕掛けによって、人は単なる鑑賞者ではなく、
体験を構成する要素の一部になります。


重要なのは、この体験が
「操作方法を覚えること」を前提としていない点です。


説明がなくても、自然な行動に対して光が反応する。
そのため、体験は一人ひとり微妙に異なり、同じ場所でも違った印象が生まれます。


この構造によって、


  • ・見る
  • ・体験する
  • ・記憶に残る



という流れが生まれやすくなります。




写真は2024年と2025年に弊社が装飾を担当した焼津駅のイルミネーションの一部。
踏んだり触ったりすることで、色や音が変わるようなモノを設置しました。

特に子供たちが何回も触って楽しんでいる様子をみると、きっと親御さんにとってもかけがえのない時間を作り出すことができているのではないかと思います。



■評価軸の変化

没入感とインタラクティブという二つの流れに共通しているのは、評価軸の変化です。


かつては、


  • ・球数が多い
  • ・明るい
  • ・規模が大きい

といった要素が、分かりやすい指標でした。

一方、近年は、


  • ・どんな体験として記憶されるか
  • ・どのような順序で体験されるか
  • ・空間の中でどう機能しているか


といった点が重視されるようになっています。


つまり、イルミネーションは
光の量ではなく、体験として設計されているかどうか
「どれだけ光っているか」から「どう体験されるか」へ
が問われる段階に入っていると言えます。





■今後のイルミネーションの考え方

イルミネーションは、これまでも時代や社会状況に応じて、少しずつ役割を変えてきました。


今後も、すべての場所で同じ表現が求められるわけではなく、
街や施設の特性に合わせて、異なる役割を担っていくと考えられます。


派手さや新しさだけでなく、その場所で、どのように人が動き、どのように体験されるのか。


そうした前提を整理することが、これからのイルミネーションを考えるうえで重要になっていきます。



■講義的まとめ ― 私たちの立ち位置

私たちは、イルミネーションを単なる装飾やイベント演出としてではなく、
街や空間の価値を引き出すVMDの一部として捉えています。

没入感やインタラクティブといったトレンドも、人の行動や体験の流れを整理するという点では、VMDの考え方と深くつながっています。

イルミネーション部材の販売は全国対応とし、施工については浜松・静岡エリアを中心に、現地条件や動線を踏まえた設置を重視しています。

トレンドをそのまま取り入れるのではなく、空間や目的に合わせて整理し、使い方まで含めて提案することが、結果として違和感のないイルミネーションにつながると考えています。


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