先日、大学でイルミネーションに関する講義を行う機会がありました。
限られた時間の中で、どうしても説明が足りなかった部分があり、「もう少し整理して伝えたかった」という思いが残りました。


そのときに改めて感じたのが、
イルミネーションは「きれいな光」の話だけでは語りきれない、ということです。


このコラムでは、講義で十分に触れられなかった内容も含めながら、
イルミネーションを VMD(Visual Merchandising) という視点から、全3回に分けて、少しずつ整理していきたいと思います。


■VMDとは何か

今日はまず、「VMDとは何か」 というところから整理していきます。


イルミネーションの企画や施工の話をする際、
このVMDという考え方を知っているかどうかで、
見えてくるものが少し変わってきます。


VMDは Visual Merchandising の略で、日本語では「ビジュアル・マーチャンダイジング」と呼ばれます。


簡単に言えば、
視覚的な情報を使って、人の行動を設計する考え方です。


もともとは店舗づくりの分野で使われてきた言葉ですが、実はイルミネーションとも非常に相性の良い概念です。


■VMD≠きれいに見せること

ここで、ひとつ誤解されやすい点があります。


VMDというと、
「おしゃれに見せるための装飾」
「見た目を良くするための工夫」
といったイメージを持たれることがあります。


ただ、本来のVMDは、そうした見た目の話だけではありません。


VMDが考えているのは、人がどう動くか です。


  • ・どこで視線が止まるのか
  • ・どこで足が止まるのか
  • ・次にどこへ進むのか


こうした行動の流れを、視覚情報によって整理していく考え方です。


■店舗のVMD



少し身近な例を考えてみます。


例えばアパレルショップに入ったとき、


  • ・入口正面にマネキンが立っている
  • ・店内の奥はやや落ち着いた明るさ
  • ・目線の高さに新作商品が並んでいる


こうした構成を目にしたことがあると思います。

これは偶然ではありません。


「まず気づかせる」
「次に近づかせる」
「最後に商品に触れさせる」


この順番を前提に、照明や配置が組み立てられています。



これがVMDの基本的な考え方です。


■イルミネーション=街のVMD



では、このVMDの考え方を街のイルミネーションに当てはめるとどうなるでしょうか。


イルミネーションは、


  • ・屋外で行われ
  • ・夜間に見られ
  • ・不特定多数の人に向けて設置されます


つまり、店舗よりもさらにスケールの大きな空間を扱うことになります。


その分、
「どこから見えるのか」
「どの方向に人が動くのか」
といった視点が、より重要になります。


この意味で、イルミネーションは 「街のVMD」 と呼ぶことができます。


■人はなぜ、光に引き寄せられるのか

夜の街を歩いているとき、人は無意識のうちに明るい方向へ向かう傾向があります。

これは特別な行動ではなく、人が安心感や安全性を求める、ごく自然な反応です。


イルミネーションは、この人の性質を前提に成り立っています。


  • ・遠くからでも気づく
  • ・近づくと空間の印象が変わる
  • ・立ち止まる理由が生まれる


こうした段階的な体験は、VMDの考え方と非常に近いものです。




■イルミネーションは、どこで差がつくのか

イルミネーションを検討する際、どうしても


  • ・使用する商品
  • ・球数
  • ・明るさ


といった点に注目が集まりがちです。


もちろん、イルミネーション商品の品質や耐久性、施工の安全性は欠かせません。


ただ、それと同時に、

  • ・どこに設置するのか
  • ・どの方向から見せるのか
  • ・どういう順番で体験させるのか


こうした設計の考え方があって、初めてイルミネーションは空間の中で機能します。


この視点は、イルミネーションの企画会社や施工会社、販売会社を選ぶ際にも、重要な判断材料になります。


■浜松・静岡でイルミネーションを考えるということ


浜松や静岡エリアでも、年末のイルミネーションは駅前や商業施設、中心市街地で多く見られます。


地方都市の場合、都市部と比べて人の流れが分散しやすい傾向があります。


そのため、

  • ・どこで人を集めたいのか
  • ・どの方向へ流したいのか
  • ・どこで滞在してほしいのか


といった点を整理したうえで、イルミネーションを企画する必要があります。


この考え方は、VMD(Visual Merchandising)の視点とも深く関係しています。


■講義的まとめ

ここまで、VMDの視点から、イルミネーションをどのように捉えられるかを整理してきました。


イルミネーションは、光そのものではなく、
人の視線や行動とセットで考えることで、
空間の中で意味を持つようになります。


私たちはこのVMDの考え方を大切にしながら、
場所や目的に応じたイルミネーションの提案を行っています。



イルミネーション部材の販売は全国対応とし、
施工については浜松・静岡エリアを中心に、
現地条件を踏まえた設置を重視しています。



次回は、イルミネーションの歴史について、
白熱灯からLEDへ、そして社会背景の変化とともに整理していきます。

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