SNS映えする会場は、単に派手な会場ではありません。

イルミメーカーの立場から見ると、
人の歩く速度が落ち、視線の向きがそろい、写真を撮ったときに背景が破綻しない場所のほうが、
投稿されやすい空間になります。

GWはその条件を観察しやすい時期です。
人出が増えるぶん、会場の導線の癖や、滞留が起きる場所、スマートフォンが上がる場所が、
普段よりはっきり見えてくるからです。


冬のイルミネーションを考える側からすると、GWの会場は春のにぎわいを見る場というより、
冬にどこを光らせると効くかを読む場でもあります。



人の多さではなく、流れが変わる場所を見る



会場を見るとき、つい人が多い場所に目がいきます。

けれど、SNS映えの観点では、人数そのものよりも、人の流れがどう変わるかのほうが重要です。
入口正面やメイン通路は通行量がありますが、目的地へ向かう流れが強く、意外と立ち止まりません。

反対に、少し奥まった広場、ベンチの前後、階段の踊り場、植栽の切れ目、壁面前の余白では、
人が自然に減速します。

立ち止まる、振り返る、子どもを寄せる、荷物を持ち替える。
そうした小さな動きが起きる場所は、写真も発生しやすくなります。


イルミネーションの企画でも、この「減速する場所」はかなり重要です。
足が止まらない場所に強い装飾を入れても、目には入っても写真は残りにくいからです。





VMDの視点では、主役より背景処理が効く



ここでいうVMDは、見た目を整えるだけの話ではありません。
どこで視線を止め、どこで比較させ、どこで記憶に残すかを設計する考え方です。

会場空間でSNS映えを考えるときも、主役のモチーフだけを強くすればよいわけではありません。
主役、背景、立ち位置、導線干渉、この四つを一緒に見たほうが実際の撮影に強い空間になります。


特に背景処理は大きいです。
自動販売機、注意看板、分電盤、仮設電源、消火設備、カラーコーンなどは、現場では必要でも、
写真の中ではかなり強いノイズになります。

逆に、連続する樹木、植栽、壁面、奥行きのある通路、素材感のそろった床は、
少ない装飾でも背景として機能します。

SNS映えする会場は、主役が派手というより、背景が整理されている会場と言ったほうが近いかもしれません。




スマートフォンの上がり方で、会場の強みがわかる



GWに会場を見るなら、人が多い場所を見るより、
スマートフォンがどこで、どう上がっているかを見るほうが早いです。

縦で撮っているのか、横で撮っているのか。
自撮りが多いのか、向かい合って撮っているのか。
人物を主役にしているのか、空間ごと引いているのか。
そこには会場の特性がかなり出ます。


縦構図が多い場所は、樹木や吹き抜け、アーチのような高さの演出が効いていることが多いです。

横構図が多い場所は、背景が横に広く整っていたり、複数人で並べる余白があったりします。

自撮りが多い場所は、近距離でも成立する明るさのバランスがあります。

対面撮影が多い場所は、一歩二歩下がれる余白が確保されています。


SNS映えという言葉を具体的に見ると、こういう差になります。





撮られる会場には、立ち位置が自然にある



撮影される会場には、説明がなくても「ここに立てばよい」とわかる位置があります。
床材の切り替わり、ベンチ前の一歩引ける余白、段差手前の安全帯、植栽の端、壁から適度に離れた空間。
こうした要素が、立ち位置を無言で決めています。


逆に、装飾だけを先に置いてしまうと、
撮る側は下がれない、立つと通行をふさいでしまう、横にずれると背景が崩れる、という状態になりやすいです。

これでは見た目が良くても撮影が続きません。


どこに装飾を置くかと同じくらい、どこに人が立つかが重要です。
SNS映えに振り切るなら、装飾位置より立ち位置の設計のほうが効く場面もあります。




GWの観察を、冬のイルミネーションに置き換える



では、GWに見ているこの会場が冬ならどうなると面白いか。
ここがイルミメーカーらしい見方になるところです。


たとえば、ベンチ周辺で家族連れがよく写真を撮っているなら、
冬はベンチ正面に大きなオブジェを置くより、背面の植栽や樹木を細かなストリングスで面として整えたほうが、
人物の後ろがきれいにまとまります。
座っても立っても写真が成立しやすくなります。


階段の踊り場で振り返って撮る人が多いなら、
冬は手すりや縁に細く光を入れ、上がった先に背景になる面をつくると奥行きが出ます。

通路が長く、歩きながら撮影が起きているなら、全体を均一に光らせるより、
一定間隔で見せ場の密度を上げたほうが回遊と撮影が連動しやすくなります。


反対に、GWで人は多いのに誰もスマートフォンを上げていない場所は、
冬に派手な装飾を入れても伸びにくいことがあります。
背景が雑多だったり、立ち止まりにくかったり、立つと導線をふさいでしまったりするからです。


長期設置なら、量より効かせどころを絞ったほうが空間全体の印象は良くなります。
これはイルミネーション企画ではかなり大事な感覚です。



GWに会場を見るなら、人が多い場所だけを追わないほうが面白いのかもしれません。
見るべきなのは、少し速度が落ちる場所、背景が整っている場所、スマートフォンが上がる場所です。
そこには、冬にどこを光らせると人物と空間が一緒に残るのか、その答えがかなりはっきり出ています。

イルミネーションを考える仕事は、光る部材を見る仕事でもありますが、
それ以上に、人がどこで空間を自分の記憶に変えるのかを見る仕事でもあるのだと思います。


会場の見え方や、冬に向けたイルミネーションの考え方で気になることがあれば、
お気軽にご相談ください。
現地の条件に合わせて、一緒に整理していければと思います。

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